Eastern Parkway (Brooklyn), 4PM. September 10, 1982
Eastern Parkway (Brooklyn), 4PM. September 10, 1982

Grand Opening Exhibition

Masao Gozu 郷津雅夫

WINDOWS

3/9 - 4/7/2012

 

 

展覧会概要 

 

郷津雅夫の「WINDOWS」展では1970-1980年代に制作された「窓のシリーズ」のヴィンテージ作品(以前展示された写真作品、20 x 16インチ)を10点ほど主に展示致します。「窓」は郷津雅夫にとって長年取り組んでいるテーマであり、現在は写真から大型の立体作品に発展しております。これらの写真作品は、ニューヨークの治安が非常に悪かった時代に撮影されたものであり、シャッターチャンスを狙って同じ路地を常に行き来していたため、何度も警察に銃を突き付けられたこともあったそうです。納得のいく写真が撮れるまでに4年ほどかかる場合もあり、常に時間との勝負でもありました。郷津雅夫はこの窓のシリーズで1985年に伊奈信夫賞、1990年にパリ写真月間特別審査員賞を受賞しております。

 

今後KOKI ARTSでは、郷津雅夫の作品を時代を追いながら紹介していく予定であり、彼の原点である「窓のシリーズ」を紹介する本展はその第一弾となります。1980年からニューヨークのOK Harris Works of Artで個展(計9回)を続けていますが、今回の展示は郷津雅夫にとって日本では20年ぶりの個展となります。

 

 

IN POND EDDY

 

今、私はニューヨークの郊外ポンドエディーに住んで、そこで採れる石材(ブルーストーン)を使って立体作品を制作しています。その作品“Seven Windows”は、1971年から始めた窓シリーズの写真作品から発展しています。

 

渡米後に住み着いたマンハッタンのダウンタウンで出逢った窓辺に佇むマイノリティーの人たち、それに自分が重なり、窓はまた自分を見つめる鏡でもありました。

 

日本と違い他人を寄せ付けない頑強な煉瓦造りの窓を視線として捉えた写真展「“視る”」の後、「“IN NEW YORK(Feb.1971-Dec.1980)」、「“IN NEW YORK(Feb.1971-Dec.1984)」、「“IN NEW YORK(Feb.1971-Mar.1989)」と三度にわたっての写真集にまとめアーティストブックとしてアメリカで巡回展を行いました。

 

1988年には廃ビルから切り出した実物の窓を通して、世界貿易センタービルを囲んだ作品を発表、それ以降、写真作品のコンセプトを軸に立体作品を制作・発表しています。

 

今、レンガは石に、人は苔に、窓そのものは私自身のステージ代わり、氷河期より繁茂する地上で最も古い植物である苔が、デラウエアーリヴアーの湿気を吸って緑色に輝く時、そして地上に出て七日間しか生存出来ない蝉の声との出逢いの時に、写真的を感じつつポンドエディーの山中で作品制作を続けています。

 

今回の写真展は、私の古くからの友人で芸術家としての先輩であった画家故古川吉重さんのご子息石橋高基君のKOKI ARTSオープニング展として企画して頂きました。感謝いたします。

 

郷津 雅夫